東京都中央区 湾岸エリアといえば、高層タワーマンションが競うように建ち並ぶ、日本国内でも屈指の注目を集める居住エリア。
高層タワーマンションが林立するこの一帯は、都心部へのアクセスに優れながらも、東京湾の開放的な景観を楽しめるという点で、他にはない魅力を放っている。
さらに、再開発やインフラ整備が継続的に進められていることから、住宅市場において資産性の高いエリアとしても広く知られている。
―――そんな湾岸タワーマンション事情について、不動産売却一括査定サイトを運営するマンションリサーチが興味深い。
眺望によって坪単価に変化があるのかを調査
「湾岸タワーマンションの大きな特徴のひとつが、眺望によって価格が変わること。
一般的に不動産価格は、立地や築年数、設備仕様といった要因で決まるなか、湾岸エリアのタワーマンションでは「窓の外に何が広がっているか」が大きなプレミアムを生み出している。
同じマンション、同じ階数であっても、見える景色が異なれば坪単価に数十万円もの差が生じることは決して珍しくない。
そこで今回、中央区の代表的なタワーマンションを対象に「眺望によって坪単価に変化があるのか」を調査した」(マンションリサーチ)
ということで、ここからマンションリサーチ データ事業開発室 不動産データ分析 福嶋真司 責任者(福嶋総研 代表社員)の分析をチェックしていこう。
◆ ザ・東京タワーズ(シータワー/ミッドタワー)
総戸数約2,800戸、日本最大級のツインタワーマンションとして2008年に誕生した「ザ・東京タワーズ」。
湾岸エリアのランドマーク的存在で、現在も人気は高いままです。
調査結果では、南西方向が最も高く、次いで南東方向が高値を示しました。
南西:レインボーブリッジを正面に望むことができ、夜景や開放感の面で圧倒的な価値。 南東:東京湾の水平線まで見渡せる景観が魅力。
この結果から、レインボーブリッジビューと東京湾ビューが価格形成に直結していることが分かります(マンションリサーチ 福嶋真司 責任者)。
◆ 勝どき ザ・タワー
2016年竣工、総戸数1,420戸。湾岸の中でも特に資産性の高いマンションと評価されています。
分析の結果、南西方向が最も高く、次いで北西方向が高いという傾向が見られました。
南西:レインボーブリッジビュー。湾岸ならではの眺望資産として高く評価。 北西:浜離宮恩賜庭園と都心の高層ビル群を一望できる点が大きな魅力。
つまり勝どきザタワーの場合、湾岸ビューだけでなく「緑と都市景観」を組み合わせた眺望も評価されていることが特徴です(マンションリサーチ 福嶋真司 責任者)。
◆ パークタワー勝どきサウス
2023年竣工、総戸数1665戸。最新の設備や共用施設を持つ新世代のランドマークタワーです。
結果は、南西が最も高く、次いで南・南東がほぼ同等という傾向でした。
南西:やはりレインボーブリッジを臨む住戸が突出して高値。 南:日当たりが良好で、レインボーブリッジの一部を視認できる住戸も。 南東:東京湾の広がりを享受できる。
最新マンションでも「レインボーブリッジビュー+抜け感」が価格を左右する軸であることが確認できました(マンションリサーチ 福嶋真司 責任者)。
眺望プレミアムの正体 湾岸特有の景観資産
今回の調査を通じて、中央区湾岸のタワーマンションにおける価格形成には、明確な傾向が見えました。
◆ 南西方向=最も高値 レインボーブリッジビューは唯一無二の資産。
◆ 南・南東=高水準 東京湾の開放感と日照条件が評価される。
◆ 北西=一部物件で高評価 勝どきザタワーのように、浜離宮+都心摩天楼の組み合わせは例外的な人気。
◆ 北・西=相対的に低め 建物に視界を遮られることが多く、価格プレミアムは限定的。
―――つまり、湾岸タワーにおいては単なる「南向きだから高い」という一般論ではなく、“何が見えるか”という眺望資産こそが坪単価を決めるカギになっているのです。
中央区湾岸タワーマンションの価格形成を眺望の観点から分析した結果、以下の点が明らかになりました。
◆ 南西=レインボーブリッジビューが最も高評価
◆ 南・南東=東京湾の景観により高水準を維持
◆ 北西=一部物件では庭園や都心ビューで高評価
◆ 眺望の「抜け感」が価格を決定づける重要要因
不動産の価値は築年数や立地条件だけでなく、湾岸特有の景観資産によっても大きく左右されます。
今後、湾岸タワーマンションを購入・投資する際には、「窓からの景色」が将来の資産価値を左右する最重要ポイントのひとつになるといえるでしょう(マンションリサーチ 福嶋真司 責任者)。
※図はすべて マンションリサーチ提供 不動産データクラウドよりマップを加工して作成